北インドの町モラダバードは、インド有数の金属製品の産地です。
住民の半数が鍛冶仕事に携わる土地で、sisamがお願いしている金属加工は無数の小さな工房でおこなわれています。
その一つ、狭い路地を歩いたところに、S字フックなどの鉄パーツを作る職人たちが働く工房があります。
水を飲む大きな牛のすぐ傍で、彼らは自転車のホイールで炎の風を起こしたり、黙々と鉄をたたいていきます。
日常風景のなかに鍛冶仕事が、ごく自然に溶け込んでいるのです。
熱してはたたき、熱してはたたき、形作られていく品々は、人の手の加減にゆだねられたからこその味わいある美しさが宿ります。